「登園許可証」という名前の書類は、国が定めた様式には存在しません。実際に園へ提出するのは、医師が記入する「意見書」と、保護者が記入する「登園届」の2種類です。どちらが必要かは病気ごとに決まっていて、こども家庭庁のガイドラインに一覧があります。
さらに知っておきたいのは、この書類の提出を求めるかどうかが園ごとの判断という点です。国のガイドラインには「一律に作成・提出が必要となるものではありません」と明記されています。同じ病気でも、A園では意見書が必要で、B園では口頭確認だけ、という違いが起きます。
この記事では、感染症ごとにどちらの書類が必要かと、登園できる状態の目安をまとめます。
「登園許可証」は正式な書類名ではありません
園から「登園許可証をもらってきてください」と言われることがあります。この呼び方は通称で、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」に出てくる正式な名称は次の2つです。
- 意見書(医師が記入)
- 登園届(保護者が記入)
園によって「登園許可証」「治癒証明書」「登園許可書」「登園届出書」など、呼び方も様式も違います。入園時に園から渡される書類の中にこの様式が入っていることが多いので、病気になる前に手元を確認しておくと、慌てて探さずに済みます。見つからない場合は園に聞けば再発行してもらえます。
2つの違いは、記入する人です。意見書は医師に記入してもらうので受診が必要で、文書料がかかる園・医療機関もあります。登園届は保護者が記入するため、受診して診断を受けたうえで、書類自体は家庭で書けます。
医師が書く「意見書」が必要な感染症
こども家庭庁のガイドラインで、医師が意見書を記入することが考えられるとされている感染症は13種類です。登園のめやすは、学校保健安全法施行規則が定める出席停止期間の基準に準じています。
| 感染症名 | 登園のめやす |
|---|---|
| 麻しん(はしか) | 解熱後3日を経過していること |
| インフルエンザ | 発症した後5日経過し、かつ解熱した後2日経過していること(乳幼児は3日経過していること) |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症から5日間経過し、かつ症状軽快後1日を経過すること |
| 風しん | 発しんが消失していること |
| 水痘(水ぼうそう) | すべての発しんが痂皮(かさぶた)化していること |
| 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹が発現してから5日経過し、かつ全身状態が良好になっていること |
| 結核 | 医師により感染の恐れがないと認められていること |
| 咽頭結膜熱(プール熱) | 発熱・充血等の主な症状が消失した後2日経過していること |
| 流行性角結膜炎 | 結膜炎の症状が消失していること |
| 百日咳 | 特有の咳が消失していること、または適正な抗菌性物質製剤による5日間の治療が終了していること |
| 腸管出血性大腸菌感染症(O157、O26、O111等) | 医師により感染のおそれがないと認められていること |
| 急性出血性結膜炎 | 医師により感染の恐れがないと認められていること |
| 侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎菌性髄膜炎) | 医師により感染の恐れがないと認められていること |
インフルエンザの「5日」は発症日を含みません
インフルエンザでつまずきやすいのが日数の数え方です。「発症した後5日経過」の起点は、発症した日ではなくその翌日です。発症日を0日目として数えます。
加えて、解熱後2日(乳幼児は3日)という条件も同時に満たす必要があります。解熱が遅れた場合は、発症から5日を過ぎていても登園できません。両方の条件を満たした日が登園できる日です。
保護者が書く「登園届」でよい感染症
医師の診断を受けたうえで、保護者が登園届を記入することが考えられるとされている感染症は9種類です。
| 感染症名 | 登園のめやす |
|---|---|
| 溶連菌感染症 | 抗菌薬内服後24〜48時間が経過していること |
| マイコプラズマ肺炎 | 発熱や激しい咳が治まっていること |
| 手足口病 | 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること |
| 伝染性紅斑(りんご病) | 全身状態が良いこと |
| ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等) | 嘔吐・下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること |
| ヘルパンギーナ | 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること |
| RSウイルス感染症 | 呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと |
| 帯状疱しん | すべての発しんが痂皮(かさぶた)化していること |
| 突発性発しん | 解熱し機嫌が良く、全身状態が良いこと |
手足口病とヘルパンギーナは「食べられるか」で判断します
この2つの登園のめやすには、発しんや水疱が消えることが条件に入っていません。熱が下がって、普段どおり食事がとれるかどうかが基準です。口の中の痛みで食べられない状態だと、園での生活に支障が出ます。
手足の発しんが残っていても登園できる場合があるため、見た目だけで判断せず、食事の様子を見てください。
提出が必要かどうかは園によって違います
ガイドラインには、意見書と登園届について次のように書かれています。
なお、意見書及び登園届については、一律に作成・提出が必要となるものではありませんが、協議の結果、各保育所において、意見書及び登園届の作成・提出が必要となった場合には、事前に保護者に対して十分に周知することが重要です。
(こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」別添4)
書類の扱いは、園が市区町村の支援を受けながら、地域の医療機関と話し合って決めます。子どもの負担と医療機関の混雑を考えて判断するため、園ごとに違いが出ます。
実際にあるパターンは次のとおりです。
- 意見書も登園届も求めず、口頭と連絡帳の報告だけで登園できる園
- 登園届の対象の病気でも、園独自の様式に保護者が記入して提出する園
- ガイドラインどおり、意見書は医師記入・登園届は保護者記入で分けている園
自分の園がどの扱いかは、入園時に配られる書類か、園のしおりに書かれています。病気になってから確認すると、受診のタイミングを逃して登園が1日遅れることがあります。
受診から登園までの流れ
- 受診して診断を受ける。病名が確定しないと、どちらの書類が必要か決まりません
- 園に連絡して、必要な書類を確認する。病名を伝えると、園が様式を指定してくれます
- 意見書が必要な場合は、登園できる状態になってから再度受診して記入してもらいます。初診時には書けません
- 登園届の場合は、受診日と医療機関名を記入して、登園初日に持参します
- 登園のめやすを満たした日から登園する。日数の数え方は園に確認すると確実です
意見書は「登園できる状態かどうか」を医師が判断して書くものなので、発症してすぐに書いてもらうことはできません。再受診が必要になる点を見落とすと、登園予定日に書類が間に合わなくなります。
よくある質問
兄弟が感染症にかかりました。元気な子も休ませる必要がありますか
症状が出ていない子どもの登園を止める決まりはありません。園の方針として控えるよう案内される場合はあるため、園に確認してください。
意見書の文書料は誰が払いますか
医療機関が設定する文書料がかかる場合があり、原則として保護者の負担です。金額は医療機関ごとに違います。自治体によっては助成がある場合もあるため、住んでいる市区町村の案内を確認してください。
市販の解熱剤で熱が下がりました。解熱後の日数に数えていいですか
薬で一時的に下がった状態は解熱と判断されません。薬を使わずに平熱が続いた日から数えます。判断に迷う場合は受診した医療機関に確認してください。
登園のめやすを満たしていても、園から休むよう言われることがありますか
あります。めやすは最低限の基準で、全身状態が戻っていない場合は園が登園を控えるよう案内することがあります。子どもの様子を見ながら園と相談してください。
出典
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂)」別添4 医師の意見書及び保護者の登園届(2026年10月14日確認)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/1fa64474-22c1-4eae-8945-c9ad7e515db8/174eb8e5/20230401_councils_hoiku-kansen-gl_050426_09.pdf
※この記事は登園の手続きについてまとめたものです。治療や受診の判断は、かかりつけの医療機関にご相談ください。
