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保育園の感染症対策とは?登園のめやすと園の対応

保育園の感染症対策とは?登園のめやすと園の対応

保育園の感染症対応は、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」と、学校保健安全法施行規則が定める出席停止の期間の基準をもとに決まっています。ガイドラインの別添1には27の感染症が並び、そのうち表8の13種類と表9の9種類には、感染症ごとに「登園のめやす」が示されています。残る5種類(アタマジラミ症、疥癬、水いぼ、とびひ、B型肝炎)には、表の形の登園のめやすが置かれていません。

病状が回復して集団生活に支障がないという診断は、診察した医師が行います。意見書や登園届を提出するかどうかは、市区町村と地域の医療機関などの協議で決まるため、自分の子どもの園がどうなっているかは園の案内で確認します。

保育園の感染症対策は何に基づいて決まっていますか

保育所における感染症対策ガイドラインとは、乳幼児期の特性を踏まえた保育所における感染症対策の基本を示す資料です。2018(平成30)年3月に厚生労働省が改訂版を出し、2023(令和5)年5月にこども家庭庁が一部改訂、同年7月に一部修正しています。

保育園は児童福祉施設です。感染症への対応だけは、小学校などと同じ法律に合わせる形をとっています。ガイドラインにこう書かれています。

保育所は児童福祉施設ではありますが、子どもの健康診断及び保健的対応については学校保健安全法に準拠して行われています。

園からのお知らせに「出席停止」「臨時休業」という小学校と同じ言葉が出てくるのは、この準拠によるものです。学校保健安全法関係法令には、学校において予防すべき感染症の種類、出席停止、臨時休業などが定められています。感染症の種類は第一種・第二種・第三種に分かれ、第二種にはインフルエンザ、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、新型コロナウイルス感染症などが入ります。

園側の義務は保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)にも書かれています。第3章「健康及び安全」の1(3)「疾病等への対応」のイが、感染症の項目です。

感染症やその他の疾病の発生予防に努め、その発生や疑いがある場合には、必要に応じて嘱託医、市町村、保健所等に連絡し、その指示に従うとともに、保護者や全職員に連絡し、予防等について協力を求めること。

感染症で保育園を何日休むかは誰が決めますか

休む日数の目安はガイドラインの表8・表9に感染症ごとに示され、登園を再開できるかどうかの診断は診察した医師が行います。ガイドラインは、罹患した子どもが登園する際に、子どもの健康(全身)状態が保育所での集団生活に適応できる状態まで回復していること、保育所内での感染症の集団発生や流行につながらないことの2点を確認する必要があるとしています。

子どもの病状が回復し、集団生活に支障がないという診断は、身体症状、その他の検査結果等を総合的に勘案し、診察に当たった医師が医学的知見に基づいて行うものです。

表8(医師が意見書を記入することが考えられる感染症)の登園のめやすは、次のように書かれています。

  • 麻しん(はしか)… 解熱後3日を経過していること
  • インフルエンザ … 発症した後5日経過し、かつ解熱した後2日経過していること(乳幼児にあっては、3日経過していること)
  • 新型コロナウイルス感染症 … 発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過すること
  • 風しん … 発しんが消失していること
  • 水痘(水ぼうそう)… すべての発しんが痂皮(かさぶた)化していること
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)… 耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹が発現してから5日経過し、かつ全身状態が良好になっていること
  • 咽頭結膜熱(プール熱)… 発熱、充血等の主な症状が消失した後2日経過していること
  • 百日咳 … 特有の咳が消失していること又は適正な抗菌性物質製剤による5日間の治療が終了していること

表9(医師の診断を受け、保護者が登園届を記入することが考えられる感染症)には、次のように書かれています。

  • 溶連菌感染症 … 抗菌薬内服後24〜48時間が経過していること
  • 手足口病 … 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
  • ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等)… 嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること
  • ヘルパンギーナ … 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
  • RSウイルス感染症 … 呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと
  • 突発性発しん … 解熱し機嫌が良く全身状態が良いこと

状態だけで書かれている感染症があります。手足口病やヘルパンギーナの「普段の食事がとれること」、突発性発しんの「解熱し機嫌が良く全身状態が良いこと」には、何日という数字が示されていません。感染症ごとの一覧と、園から書面を求められる場面は保育園の登園許可証はいつ必要?感染症別の登園のめやす一覧にまとめています。

登園を再開する際の取扱いは、市区町村の支援の下で、地域の医療機関、地区医師会・都道府県医師会、学校等と協議して決めることが大切だとガイドラインに書かれています。個々の保育所が単独で決めるものとしては書かれていません。

意見書と登園届は何が違いますか

意見書とは、医師が記入する書面です。登園届とは、医師の診断を受けたうえで保護者が記入する書面です。ガイドラインは、感染症を2つのグループに分け、意見書を記入することが考えられる感染症を表8に13種類、保護者が登園届を記入することが考えられる感染症を表9に9種類挙げています。

表8の13種類は、麻しん、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、風しん、水痘、流行性耳下腺炎、結核、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、百日咳、腸管出血性大腸菌感染症(O157、O26、O111等)、急性出血性結膜炎、侵襲性髄膜炎菌感染症です。表9の9種類は、溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、手足口病、伝染性紅斑(りんご病)、ウイルス性胃腸炎、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症、帯状疱しん、突発性発しんです。

この区分は、提出を全国一律に義務づけるものではありません。ガイドラインはこう書いています。

「意見書」及び「登園届」については、一律に作成・提出が必要となるものではありませんが、協議の結果、「意見書」及び「登園届」の作成・提出が必要となった場合には、事前に保護者に十分周知することが重要です。

自治体が公開している様式のページを読むと、書面の名前と運用に差があります。

越谷市は「感染症治癒後の意見書(医師用)」と「感染症治癒後の登園届(保護者用)」を公開しています。季節性インフルエンザについては、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくないという厚生労働省の見解を受けて、「医師の記入する意見書の代わりに、保護者が記入する経過報告書等による対応も可能としています」と案内しています。経過報告書の位置づけも書かれていて、「学校保健安全法施行規則に定める出席停止期間の基準(発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(乳幼児の場合は3日)を経過するまで)を経過していることを確認するために保護者が記入し、施設や事業所に提出するもの」とされています。

川口市は、保護者が記入する書面を「登所届」という名前で公開しています。インフルエンザについては「今シーズンのインフルエンザ罹患後の対応について、登所届の代わりに、保護者が記入する経過報告書等(治癒後の受診が不要)による対応も可能といたします」と書かれています。

どちらの市も、園が書面の提出を求めること自体は妨げないと注記しています。川口市は「各保育所等において感染対策の観点から、登所届等の提出を求めることを妨げるものではありません」、越谷市は「施設や事業所において、季節性インフルエンザにかかった後の登園の判断基準として、医師が記入する書面の提出が必要と判断する場合には、提出を妨げるものではありません」としています。自治体が受診不要の様式を用意していても、園が別の書面を求める場合があります。

園で感染症が出たとき、園は何をしますか

園は、感染症名を保護者に伝え、必要に応じて市区町村や保健所に報告します。ガイドラインはこう書いています。

保育所内で感染症が発症した場合は、早期診断・早期治療・感染拡大防止に繋げるため、全職員が情報を共有し、速やかに保護者に感染症名を伝えるなど、感染拡大防止策を講じることが大切です。

ガイドラインは、感染症の予防を保護者に伝える手段として、口頭での説明、保健だより等の文書での説明、掲示を挙げています。保育所保育指針解説は、感染症の疑いのある子どもについて、嘱託医の指示を受け、保護者との連絡を密にし、医務室等で他の子どもと接触することのないように配慮したり消毒を行ったりすると書いています。園から呼び出しを受けて迎えに行くと子どもが別室にいるのは、この配慮によるものです。

市区町村と保健所への報告には、具体的な基準があります。ガイドラインは、次の場合に施設長が市区町村へ迅速に報告し、保健所に報告して指示を求めるなどの措置を講ずることが求められるとしています。

  1. 同一の感染症若しくは食中毒による又はそれらによると疑われる死亡者又は重篤患者が1週間以内に2名以上発生した場合(麻しん、風しんに関しては、1名でも発生した場合)
  2. 同一の感染症若しくは食中毒の患者又はそれらが疑われる者が10名以上又は全利用者の半数以上発生した場合
  3. 上記に該当しない場合でも、通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合

休園の決め方も書かれています。嘱託医が、臨時に保育所の全部又は一部を休業することが望ましいと判断した場合、市区町村や保健所に連絡して情報共有を行います。ガイドラインは「最終的な判断は市区町村が保育所の状況を確認したうえで行うものであり、保育所のみの判断で行うものではない」としています。園が休園を決めるわけではないため、休園の連絡が来るまでに時間がかかる場合があります。

嘔吐が出たときの消毒にも数字が示されています。製品濃度が約6%の次亜塩素酸ナトリウムを使う場合、嘔吐物や排泄物が付着した床・物には0.1%(1000ppm)に希釈し、水1Lに対して約20mLを加えます。表4には「衣類等に嘔吐物や排泄物が付着した場合はこちらの濃度で使用」という注記が付いていて、汚れた衣類もこの0.1%の側です。衣類等・食器等の浸け置きと、トイレの便座、ドアノブ、手すり、床等は0.02%(200ppm)で、水1Lに対して約4mLです。汚れた衣類を園で消毒するか持ち帰らせるかは園の手順で決まるので、園の案内で確認してください。

登園のめやすが表に無い感染症はどう扱いますか

アタマジラミ症、疥癬、伝染性軟属腫(水いぼ)、伝染性膿痂しん(とびひ)、B型肝炎の5つは、ガイドライン別添1の3番目の区分「上記1及び2の他、保育所において特に適切な対応が求められる感染症」に置かれ、表8・表9の登園のめやすには出てきません。各感染症の解説の中に、対応の書き方が分かれて書かれています。

とびひは、感染拡大防止策等の欄に通園の可否が明記されています。

病変部を外用薬で処置し、浸出液がしみ出ないようにガーゼ等で覆ってあれば、通園が可能である

水いぼは、通園の可否が書かれていません。感染拡大防止策等の欄に「伝染性軟属腫(水いぼ)を衣類、包帯、耐水性ばんそうこう等で覆い、他の子どもへの感染を防ぐ」と書かれ、予防・治療方法の欄には「保育所においては、周囲の子どもに感染することを考慮し、嘱託医と相談して対応する」と書かれています。水いぼで登園できるかどうかは、園の嘱託医との相談で決まります。

園や自治体の案内は、国の表より踏み込んだ書き方になることがあります。春日井市が公開している令和7年度の保育園のしおりは、「子どもに多い感染症」として13行の表で登園のめやすを載せ、出典をガイドラインと記しています。国の表と見比べると、書き方が違う箇所があります。

  • とびひ … 春日井市のしおりは「お休みの必要はありません」。ガイドラインは外用薬での処置とガーゼ等で覆うことを通園の条件にしています
  • 水いぼ … 春日井市のしおりは「お休みの必要はありません」。ガイドラインは覆って他の子どもへの感染を防ぐこと、嘱託医と相談して対応することを挙げています
  • アタマジラミ … 春日井市のしおりは「駆除を開始していること」。ガイドラインの表8・表9には登園のめやすが置かれていません
  • 溶連菌感染症 … 春日井市のしおりは「治療開始後24時間経過してから」。ガイドラインの表9は「抗菌薬内服後24〜48時間が経過していること」で、幅のある書き方になっています
  • インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症 … 春日井市のしおりは「発症後5日、かつ解熱後3日を経過してから」。インフルエンザの解熱後3日は、ガイドラインの表8が乳幼児について示している日数と同じです

国の資料と園の案内が違って見えるとき、どちらに従うかは園に聞いて確かめます。春日井市のしおりは「治ゆ後の登園は、医師の指示に従ってください」と付記しています。自治体が独自に条件を足している場合も、省いている場合もあるため、通っている園が配った書面を基準にします。

保護者ができる備えは何ですか

入園時に予防接種歴と感染症の罹患歴を園に伝え、その後に接種や罹患があったら園に報告します。保育所保育指針解説にこう書かれています。

保育所に入所する際には、母子健康手帳等を参考に、一人一人の子どもの予防接種歴や感染症の罹患歴を把握し、その後、新たに接種を受けた場合や感染症に罹患した場合には、保護者から保育所に報告してもらい、情報を共有することが大切である。

接種の予定については、保育所保育指針解説が「嘱託医やかかりつけ医の指導の下に、年齢に応じた計画的な接種についての情報提供を行うことが重要である」としています。接種の判断そのものはかかりつけ医に相談します。

家庭での感染経路対策として、保育所保育指針解説は飛沫感染対策の換気と咳エチケット、接触感染対策の手洗いを挙げ、適切な手洗いを行うことが最も重要だと書いています。水痘、麻しん、結核のような空気感染する感染症が疑われる場合は、園はその子どもをすぐに別保育にし、保護者に連絡して受診を勧めます。

薬の扱いは自治体で差が大きい部分です。川口市は「保育所等で行う与薬については、医師が処方したものに限ります」と書き、与薬依頼書の様式を公開しています。春日井市の令和7年度のしおりは「原則として薬を持っての登園はご遠慮ください」とし、「(1日3回服用を1日朝夕2回とならないか、主治医にご相談ください。)」と添えています。薬を園で飲ませてもらえるかどうかは、入園時に配られる書面で確認します。

熱が何度で呼び出されるかの目安は保育園の熱は何度から呼び出し?国の基準と登園の目安、熱がないのに呼び出される場面は保育園で熱はないのに咳で呼び出される理由にまとめています。仕事を休めないときの預け先は病児保育とは?料金と無料になる条件・医師連絡票で確認できます。

よくある質問

保育園はインフルエンザで何日休みますか

ガイドラインの表8は「発症した後5日経過し、かつ解熱した後2日経過していること(乳幼児にあっては、3日経過していること)」としています。学校保健安全法施行規則第19条の出席停止の期間の基準も、幼児については解熱した後3日を経過するまでと定めています。発症日と解熱日の数え方は園に確認してください。

登園届は誰が書きますか

登園届は保護者が記入します。医師の診断を受けたうえで記入する書面で、溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、手足口病、伝染性紅斑、ウイルス性胃腸炎、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症、帯状疱しん、突発性発しんの9種類が表9に挙げられています。意見書と登園届は、どちらも一律に作成・提出が必要となるものではありません。提出するかどうかは、市区町村と地域の医療機関などの協議で決まります。

保育園が休園になるのは誰が決めますか

最終的な判断は市区町村が行います。嘱託医が臨時に保育所の全部又は一部を休業することが望ましいと判断した場合、園は市区町村や保健所に連絡して情報共有します。ガイドラインは「最終的な判断は市区町村が保育所の状況を確認したうえで行うものであり、保育所のみの判断で行うものではない」と明記しています。

手足口病で保育園を休む必要はありますか

ガイドラインの表9は、手足口病の登園のめやすを「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」としています。日数の指定はありません。休む日数を園の案内が独自に示している場合があるので、園の書面を確認してください。

園で感染症が何人出たら報告されるのですか

同一の感染症の患者又はそれらが疑われる者が10名以上、又は全利用者の半数以上発生した場合、施設長が市区町村に報告し、保健所に報告して指示を求めることが求められます。死亡者又は重篤患者が1週間以内に2名以上発生した場合も同じです。この2名は、麻しんと風しんについては1名に読み替えます。

出典

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著者: 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)

この記事を書いた人

小泉太郎

ZuMy株式会社 代表取締役CEO。2019年創業。保育園・幼稚園の入園手続きを電子化するサービス「zuuumy」を開発・運営しています。入園時に園と保護者のあいだでやりとりされる書類を扱う仕事柄、入園が決まってから実際に通いはじめるまでに何が起きるかを、園の現場と保護者の両方から見てきました。