朝の登園で泣いていても、園に入って数十分で遊び始めている子が多くいます。最初に確かめるのは、送ったあとの日中の様子です。お迎えのときに「今日は何をして過ごしていましたか」と担任に聞けば、様子見でよいか、園と相談の場をつくるかを判断できます。
泣くこと自体は国の基準でも前提になっています。保育所保育指針は、入所したばかりの子どもについて「できるだけ個別的に対応し、子どもが安定感を得て、次第に保育所の生活になじんでいくようにする」と定めています。慣らし保育は、園がこの配慮を実行するための期間です。
朝だけ泣くのか、日中もつらいのかを先に確かめます
見る材料は3つです。お迎えのときに、この3点を担任に聞いてください。
- 泣き止むまでの時間「別れたあと、何分くらいで泣き止みましたか」
- 食事「給食はどのくらい食べましたか」
- 睡眠「お昼寝はできていますか」
朝だけ泣いて、そのあとは食べて眠って遊べているなら、家庭でできることは朝の手順を整えることに絞れます。この状態で登園を止める必要はありません。
日中も食べない、眠れない、保育士から離れられないという状態が1週間以上続く場合は、担任と話す時間をつくってもらってください。連絡帳のやりとりだけでは、園のなかで起きていることが見えません。
慣らし保育の期間は1〜2週間が目安です
自治体が保護者向けに出している案内には、具体的な日数と進め方が書かれています。青森県中泊町の福祉課が出している「慣らし保育について」には、こう書かれています。
慣らし保育とは、こども園などに入所した時に1~2週間程度、通常の保育時間を短縮して行う期間をいいます(慣らし保育の期間は子どもの年齢や、園によって異なります。利用を予定している園へおたずねください)。
慣らし保育中は、少しずつ園での生活に慣れることができるよう、過ごす時間を1日目は2時間、2日目は3時間など、長くしていきます。
高知市は慣らし保育を「お子さんが新しい環境に無理なく慣れていくために、短い時間からのお預かりにご協力いただく期間」と説明しています。どちらも、子どもが慣れるまでに時間がかかることを前提にした書き方です。
国が個別対応を明記しているのは「乳児」の入所時だけです
保育所保育指針で入所時の配慮が書かれているのは、第2章1「乳児保育に関わるねらい及び内容」の配慮事項です。1歳以上3歳未満児の配慮事項と、3歳以上児の配慮事項には、入所時についての記述がありません。
1歳を過ぎてから入園した子の慣らし保育をどう進めるかは、園の判断で決まります。期間が3日の園もあれば、2週間かける園もあります。入園前の面談で、何日かけるのか、1日ずつ何時間なのかを確認してください。
仕事復帰の日は慣らし保育の期間を見て決めます
復帰日より前から保育園を利用できる自治体があります。中泊町の案内では「復帰日の2週間前から利用することができます」と明記されていて、5月15日復帰なら5月1日から預けられる例が載っています。
この取り扱いは自治体ごとに違います。復帰日を会社に伝える前に、住んでいる市区町村の保育担当課に、いつから預けられるかを確認してください。
年齢によって、子どもが言う内容が変わります
対応を変える手がかりは、子どもが何をどう訴えるかにあります。
1〜2歳
言葉で理由を説明できないため、泣く・しがみつく・朝の支度を拒むという形で出ます。「ママといたい」と言う子もいます。この時期は、朝の手順を毎日同じにすることと、別れ際を短くすることを園から案内されることが多くあります。玄関で長く抱いていると、気持ちの切り替えに時間がかかります。
3歳前後
「◯◯くんに叩かれた」「先生が怖い」と具体的に話せるようになります。内容はそのまま担任に伝えて、事実の確認を頼んでください。子どもの記憶は前後が入れ替わることがあるので、親が判断を決めてから伝えるより、見聞きしたままを渡すほうが園は動けます。
4〜5歳・年長
行事の練習、進級、就学前の健診など、環境が変わる出来事が重なります。「小学校に行きたくない」という不安と混ざって出ることがあります。何がいやなのかを子ども自身が言える年齢なので、急いでいる朝を避けて、夜の落ち着いた時間に聞いてみてください。
休ませても退園にはなりません
数日休ませたことで退園になる仕組みはありません。退園の対象になるのは、連続した長期欠席です。基準は自治体ごとに違います。
東京都清瀬市は、こう定めています。
1か月以上の長期で欠席する場合は、欠席前に「保育園長期欠席届」を提出(電子申請可)してください。
「無届のまま1ヵ月以上欠席する場合」や「通園日数が著しく少ない月が続いた場合」は退園となる場合があります。
長期欠席の期間は理由を問わず最大3か月です。3か月を過ぎると退園となります。
兵庫県宝塚市の「長期欠席届」には、14日以上連続して欠席する場合は理由を問わず提出すること、里帰り出産以外の理由で連続2か月以上欠席した場合は退所事由になることが書かれています。
気をつける点は無断で休ませないことです。清瀬市の条件は「無届のまま1か月以上」です。休ませる日は必ず園に連絡してください。
休んだ分の保育料は戻りません
保育料は月額で決まっていて、欠席した日数で日割りにはなりません。宝塚市の様式には理由まで書かれています。
保育料は月の初日に退所している場合を除いて、欠席しても1か月分の保育料が必要です。但し、入所児童の傷病により連続して28日(日曜日、祝日を含む)以上欠席した場合は、特例として保育料を減額します。
(児童が欠席しても保育士等の人件費や諸経費は必要となります。ご理解いただきますようお願いします。)
長期の傷病に減額の特例を設けている自治体はありますが、登園しぶりで数日休んだ場合は対象になりません。
園に伝えるときは、この3つを書きます
連絡帳に「行きたくないと言っています」とだけ書くと、園は何をすればよいか決められません。次の3点を入れてください。
- 子どもが言った言葉をそのまま(「保育園きらい」「◯◯先生がこわい」など、親の解釈を加えない)
- 朝と家での様子(何分泣いたか、食事と睡眠に変化があるか)
- 園にしてほしいこと(日中の様子を教えてほしい、朝の受け入れを工夫してほしい、など)
書き方の例です。
昨日の帰り道から「保育園行きたくない」と言っています。今朝は門の前で5分ほど泣きましたが、家では食事も睡眠も変わりません。日中の様子を教えていただけると助かります。
入園のときに提出した書類も使えます。児童票や家庭調査票には「家庭での呼び名」「好きな遊び」「寝起きの癖」を書く欄があります。ZuMyが提供している入園書類の電子化サービスで扱う様式にも、この3項目は標準で入っています。ここを埋めておくと、担任が変わったときや、クラスが上がったときに引き継がれます。入園時に空欄で出していた場合は、園に相談して追記させてもらってください。
よくある質問
登園しぶりはいつまで続きますか
慣らし保育の目安は1〜2週間です。その期間を過ぎてから始まることも、半年後に急に出ることもあります。期間を示した公的なデータはありません。朝だけ泣いて日中は過ごせている状態なら、日数より日中の様子を基準に見てください。
愛情不足が原因ですか
公的な資料に、登園しぶりを愛情不足で説明したものはありません。保育所保育指針は、入所した子どもが不安を示すことを前提に、園が個別に対応するよう定めています。
「先生が怖い」と言います。どうすればいいですか
何をされたのか、いつのことかを子どもに聞き取って、担任に伝えてください。担任本人に伝えにくい場合は、園長か主任に伝える方法があります。園は保護者からの相談に応じる立場にあるので、クラス担任以外に話を持っていくことは手続きとして問題ありません。
朝の支度が長引いて遅刻しそうです
登園が遅れる日は、園に電話で予定の時刻を伝えてください。園は朝のうちに給食と午睡の人数を確定させています。連絡があれば受け入れの準備ができます。
発達が心配です
自治体には発達相談の窓口があり、保育園には巡回相談(心理職などが園を訪問して子どもの様子を見る仕組み)が入っている地域もあります。園に巡回相談があるかを聞いて、なければ市区町村の子育て相談窓口に連絡してください。
出典
- 厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)第2章 1 (3) 保育の実施に関わる配慮事項(2026年10月14日確認)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00010450&dataType=0&pageNo=1 - 中泊町福祉課「慣らし保育について」(2026年10月14日確認)
https://www.town.nakadomari.lg.jp/material/files/group/7/narashihoiku20231109.pdf - 高知市「慣らし保育について」(2026年10月14日確認)
https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/34/narasihoiku.html - 清瀬市「家庭状況が変更したとき、退園や長期欠席するとき」(2026年10月14日確認)
https://www.city.kiyose.lg.jp/kosodatekyouiku/hoikusyoyouchien/hoikuen/1005336.html - 宝塚市「長期欠席届(報告)(1号・2号・3号認定用)」(2026年10月14日確認)
https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/438/tyouketu_r310.pdf
※欠席の届出や保育料の取り扱いは自治体ごとに違います。手続きの判断は、住んでいる市区町村の保育担当課と通っている園に確認してください。

