小1の壁とは、子どもが小学校に入学したあとに、保育園に通っていたときと同じ長さだけ子どもを預けられなくなり、保護者が働き方を変えることになる状態を指す言葉です。
いちばん大きく変わるのはお迎えの時刻です。こども家庭庁の令和7年の調査では、放課後児童クラブ(学童保育)の平日の終了時刻は18時31分から19時00分が25,928か所のうち14,229か所(54.9%)で最多で、19時01分以降まで開いているクラブは1,912か所(7.4%)です。保育園で19時や20時までの延長保育を使っていた家庭は、入学の時点でお迎えを早めるか、別の預け先を足すかを決めることになります。
学童保育の時間、長期休みの開始時刻、入学で請求できなくなる制度、1年生の待機児童数を、条文と国の調査の実数で押さえます。
小1の壁とは何ですか
小1の壁とは、保育園で確保されていた預かり時間と、小学校・学童保育で確保される時間の差によって、保護者が今までの勤務時間を続けられなくなる状態を指す言葉です。こども家庭庁の「保育政策関係資料集」にも、放課後児童対策の説明として「『小1の壁』を打破し、幼児期から学童期への切れ目ない育ちを保障するため、放課後児童クラブの受け皿整備など、関係省庁で連携して放課後児童対策を推進する」と書かれています。
保育園と学童保育は、国が時間を決めている仕組みそのものが違います。
- 保育所: 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第34条は「保育所における保育時間は、一日につき八時間を原則とし」と定めています。保護者が預けられる時間の上限は子ども・子育て支援法施行規則 第4条が決めていて、保育必要量の認定は「一月当たり平均二百七十五時間まで(一日当たり十一時間までに限る。)」と「平均二百時間まで(一日当たり八時間までに限る。)」の2つの区分に分けて行います
- 放課後児童クラブ: 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準 第18条は、開所する時間について「小学校の授業の休業日に行う放課後児童健全育成事業 一日につき八時間」「小学校の授業の休業日以外の日に行う放課後児童健全育成事業 一日につき三時間」と定め、それぞれ当該各号に定める時間以上を原則として事業所ごとに定めると書いています。開所日数は第18条第2項で「一年につき二百五十日以上を原則として」と定めています
保育所の11時間は保護者が受けられる認定の上限で、学童保育の3時間は開所時間の下限です。国が学童保育について定めているのは下限までで、実際に何時まで開くかは市区町村の条例とクラブごとの運営規程で決まります。
同じ基準の第5条は、放課後児童健全育成事業の対象を「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」と定めています。入学と同時に自動で席がもらえる仕組みではありません。料金や申込みの流れは学童保育とは?料金・時間・申込時期の決まりにまとめています。
学童保育は何時までですか
平日にいちばん多い終了時刻は18時31分から19時00分で、こども家庭庁の令和7年の調査では25,928か所のうち14,229か所(54.9%)です。19時01分以降まで開いているクラブは1,912か所(7.4%)にとどまります。
令和7年5月1日時点の平日の終了時刻は次の内訳です(全25,928か所)。
- 17時00分まで … 96か所(0.4%)
- 17時01分〜18時00分 … 4,074か所(15.7%)
- 18時01分〜18時30分 … 5,617か所(21.7%)
- 18時31分〜19時00分 … 14,229か所(54.9%)
- 19時01分以降 … 1,912か所(7.4%)
保育園で19時や20時までの延長保育を使っていた家庭は、学童保育で同じ時刻までの預かりを見つけにくくなります。19時01分以降まで開いているクラブが7.4%なので、お迎え時刻を前倒しするか、別の預け先を足すかの判断が入学前に必要になります。
終了時刻は第18条の「原則」を参酌して市区町村の条例とクラブごとの運営規程で決まります。自分が使うクラブの時刻は、市区町村の案内かクラブの運営規程で確認してください。
夏休みなどの長期休みはどうなりますか
長期休みは朝の時間が問題になります。令和7年の調査で長期休暇等の開所時刻がいちばん多いのは8時00分から8時59分で、15,756か所(61.1%)です。親の始業に間に合わない場合は、8時台まで子どもが家にいる時間が生まれます。
長期休暇等について、同じ調査で分かることを挙げます。
- 終了時刻は18時31分〜19時00分が13,459か所(52.2%)。長期休暇等に開所している25,787か所に対する割合です
- 夏休み等に開所しているクラブは25,393か所(97.9%)。土曜日は23,015か所(88.8%)、日曜日・祝日は847か所(3.3%)です
- 昼食の提供があるクラブは13,517か所(52.1%)。令和6年の11,026か所(43.0%)から2,491か所増えています
昼食の提供がないクラブでは、長期休みの間は毎日昼食を持たせることになります。実際の時刻は自治体の案内に書かれています。広島市は放課後児童クラブの開設時間を「月曜日から金曜日まで 13時00分〜18時30分」「長期休業中及び学校代休日 8時30分〜18時30分」と公表し、長期休業中に限って8時00分から8時30分までの延長を有料で実施しています。新潟市のひまわりクラブは「学校の平常授業期間 放課後から午後6時30分まで」「土曜日、学校の臨時休業、長期休業(春・夏・冬休み) 午前8時から午後6時30分まで」です。
この2市だけでも、長期休みの開始が8時00分と8時30分で違い、8時前の延長を有料で設けているかどうかも分かれます。クラブの呼び方も自治体ごとに違うので、学童保育クラブとは?名前が自治体で違う理由も合わせて読んでください。
小学校入学で請求できなくなる育児の制度はどれですか
育児・介護休業法が「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」と対象を区切っている制度は、入学と同時に請求できなくなります。条文で確認できるのは次の制度です。
- 所定外労働の制限(第16条の8): 「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」が請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない
- 時間外労働の制限(第17条): 「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」が請求したときは、制限時間(一月について二十四時間、一年について百五十時間)を超えて労働時間を延長してはならない
- 深夜業の制限(第19条): 「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」が請求した場合、午後十時から午前五時までの間に労働させてはならない
3つとも「事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」という例外が付いています。第23条の3の「三歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置」も対象が就学前までで、事業主は始業時刻変更等の措置や在宅勤務等の措置を含む選択肢から「二以上の措置を講じなければならない」と定められています。
短時間勤務制度は小学校入学より前に終わります。同法第23条の所定労働時間の短縮措置の対象は「その三歳に満たない子を養育する労働者」で、子どもが3歳になった時点で法律上の対象から外れます。厚生労働省も「事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者に対して、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む短時間勤務制度を講じなければなりません」と説明しています。対象から外れる時期と請求の仕方は時短勤務とは?3歳までと3歳以降の決まりで整理しています。
育児のための休暇として入学後も請求できるのは、子の看護等休暇(第16条の2)です。対象は「九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子」、つまり小学校第3学年修了前の子で、1年度に5労働日、子が2人以上なら10労働日が限度です。厚生労働省は「2025年(令和7年)4月1日から、感染症に伴う学級閉鎖等への対応や、入園式・卒園式・入学式への参列が取得事由に追加されました」と公表しています。入学式に休暇を当てられるのはこの改正によるものです。
勤務先が法律を上回る制度を置いている場合もあります。入学後に何歳まで短縮勤務ができるかは会社の就業規則で決まるので、人事に確認してください。
1年生は学童保育に入れますか
令和7年5月1日時点で、学童保育に登録している小学1年生は456,418人(29.1%)で、学年別でいちばん多い学年です。登録児童数の全体は1,570,645人で過去最高を更新しています。
利用できなかった児童数(待機児童数)の全体は16,330人で、学年別の内訳は小学1年生1,966人(12.0%)、小学2年生1,805人(11.1%)、小学3年生3,305人(20.2%)、小学4年生5,589人(34.2%)です。待機児童がいちばん多い学年は小学4年生です。
年度の途中で数字は動きます。こども家庭庁と文部科学省の「放課後児童対策パッケージ2026のポイント」は、令和7年5月1日時点を「登録児童 157万人 待機児童 1.6万人」、同年10月1日時点を「登録児童 152万人 待機児童 0.7万人」と記載しています。同じ資料は登録児童数が2030年頃に約165万人でピークを迎えると推計し、その受け皿を確保することを目標としています。
入学前の春休みの扱いは、令和7年の調査に数字があります。新1年生を「4月1日より受入」しているクラブは25,585か所(98.7%)です。4月1日から学校が始まるまでの数日は、ほとんどのクラブで預かりの対象になっています。
入れるかどうかは市区町村の利用調整で決まります。全国共通の選考基準は公的資料にありません。自分の自治体の基準と受付の期間は、市区町村の学童保育の案内で確認してください。
入学前に確認しておくことは何ですか
確認する相手は市区町村・クラブ・勤務先の3つに分かれます。資料に答えが書いてあるものと、自治体ごとに違うものを分けて並べます。
- 使うクラブの終了時刻と延長の有無(市区町村かクラブに確認)。基準第18条が定めるのは「授業がある日は1日3時間、休業日は1日8時間」以上を原則として事業所ごとに定めるという下限までで、実際の時刻はクラブごとの運営規程で決まります
- 長期休みの開始時刻と昼食(市区町村かクラブに確認)。全国では開所が8時台のクラブが61.1%、昼食提供があるクラブが52.1%です。広島市のように8時前の延長を有料で設けている自治体もあります
- 受付の期間と必要書類(市区町村に確認)。新潟市は「入会希望日の3週間前まで」を目途とし、新年度4月入会は申込期間が別になると案内しています。全国共通の受付開始月は公的資料にありません
- 勤務先で入学後に請求できる制度(人事に確認)。育児のための休暇として入学後も請求できるのは子の看護等休暇です。所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限は小学校就学で区切られます
- 学童保育以外の放課後の居場所(市区町村に確認)。「放課後児童対策パッケージ2026のポイント」は「小学校内で実施される放課後児童クラブと放課後子供教室との校内交流型を強力に推進する」としています
保育園の保育料は無償化や所得で決まりますが、学童保育の料金は別の仕組みです。保育園時代の負担との比較は保育料はどう決まる?上限額と無料の条件と学童保育の記事を見比べてください。
よくある質問
小1の壁とは何ですか
小学校入学後に、保育園に通っていたときと同じ長さだけ子どもを預けられなくなり、保護者が働き方を変えることになる状態を指す言葉です。令和7年の調査では学童保育の平日の終了時刻は18時31分〜19時00分が54.9%で、保育園の延長保育と同じ時刻まで預けられるクラブは多くありません。こども家庭庁の資料にも「『小1の壁』を打破し」という表現で使われています。
学童保育は何時まで預かってくれますか
令和7年5月1日時点で、平日の終了時刻は18時31分から19時00分が14,229か所(54.9%)で最多です。19時01分以降まで開いているクラブは1,912か所(7.4%)です。実際の時刻はクラブごとの運営規程で決まるので、市区町村の案内で確認してください。
1年生で学童保育に入れない子はどれくらいいますか
令和7年5月1日時点で、利用できなかった小学1年生は1,966人です。待機児童全体は16,330人で、小学1年生はそのうち12.0%です。待機児童がいちばん多い学年は小学4年生の5,589人(34.2%)です。
小学校に入ったら時短勤務はできなくなりますか
育児・介護休業法第23条の所定労働時間の短縮措置は「三歳に満たない子を養育する労働者」が対象で、子どもが3歳になった時点で法律上の対象から外れます。勤務先が法律を上回る制度を置いている場合は入学後も使えるので、就業規則か人事に確認してください。
入学後も使える育児の休暇はありますか
子の看護等休暇(育児・介護休業法第16条の2)が使えます。対象は九歳に達する日以後の最初の三月三十一日まで、つまり小学校第3学年修了前の子で、1年度に5労働日、子が2人以上なら10労働日が限度です。2025年4月1日から、学級閉鎖等への対応と入園式・卒園式・入学式への参列が取得事由に加わりました。
入学前の春休みも学童保育を使えますか
令和7年の調査では、新1年生を4月1日より受入しているクラブが25,585か所(98.7%)です。受け入れの開始日と手続きはクラブごとに決まるので、市区町村の案内で確認してください。
出典
- こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(確認日: 2026年11月04日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/69799c33-85cb-44f6-8c70-08ed3a292ab5/c253a682/20251222_policies_kosodateshien_houkago-jidou_80.pdf
- こども家庭庁・文部科学省「放課後児童対策パッケージ2026のポイント」(確認日: 2026年11月04日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/69799c33-85cb-44f6-8c70-08ed3a292ab5/8b4fb424/20251225_policies_kosodateshien_houkago-jidou_81.pdf
- こども家庭庁「保育政策関係資料集」(確認日: 2026年11月04日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/f924be75/20260416_policies_hoiku_228.pdf
- 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)(確認日: 2026年11月04日)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4022&dataType=0&pageNo=1
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)(確認日: 2026年11月04日)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82069000&dataType=0&pageNo=1
- 子ども・子育て支援法施行規則(e-Gov法令検索)(確認日: 2026年11月04日)https://laws.e-gov.go.jp/law/426M60000002044
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法/e-Gov法令検索)(確認日: 2026年11月04日)https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076
- 厚生労働省「子の看護等休暇|育児休業制度特設サイト」(確認日: 2026年11月04日)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/nursing/
- 厚生労働省「短時間勤務等の措置|育児休業制度特設サイト」(確認日: 2026年11月04日)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/shortworking/
- 広島市「令和8年度 広島市放課後児童クラブの利用」(確認日: 2026年11月04日)https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/kosodate/1021263/1043593.html
- 新潟市「放課後児童クラブ(ひまわりクラブ他)について」(確認日: 2026年11月04日)https://www.city.niigata.lg.jp/kosodate/ninshin/life_stage/azuketai/33.html
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著者: 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)
