保育園から熱で迎えを呼ばれる目安は、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では38℃以上の発熱があって、そのうえで元気がない・水分が摂れないといった様子があるときです。よく聞く37.5℃という数字は、このガイドラインでは熱性けいれんの既往がある子どもへの注意書きと、朝に登園を控えるかどうかを判断する場面に出てきます。実際に何度で連絡するかは園と自治体が決めていて、入園のしおりに体温の数字を書いていない自治体もあります。
保育園から熱で呼び出されるのは何度からですか
国のガイドラインが「保護者への連絡が望ましい場合」として挙げているのは、38℃以上の発熱があり、かつ全身の様子が良くないときです。体温の数字だけで線を引く書き方をしていません。
保育所における感染症対策ガイドラインとは、こども家庭庁が保育所の感染症対策の基本を示した資料です。2018(平成30)年3月に改訂され、2023(令和5)年5月に一部改訂されました。この資料の別添3「②発熱時の対応」が、保育中に熱が出たときの対応を整理しています。
別添3は、保護者への連絡が望ましい場合として、38℃以上の発熱があるうえで次の様子が見られるときを挙げています。
- 元気がなく機嫌が悪いとき
- 咳で眠れず目覚めるとき
- 排尿回数がいつもより減っているとき
- 食欲なく水分が摂れないとき
37.5℃が出てくるのは、この一覧に付いた注意書きです。原文は「※熱性けいれんの既往児が37.5℃以上の発熱があるときは医師の指示に従う。」と書いています。熱性けいれんを起こしたことがある子どもについての記載で、すべての子どもに37.5℃の線を引いたものではありません。
別添3は、体温の見方についても最初に書いています。
子ども一人一人の元気な時の「平熱」を知っておくことが重要です。発熱時の体温は、あくまでもめやすであり、個々の平熱に応じて、個別に判断します。
同じ37.8℃でも、平熱が36.2℃の子と36.9℃の子では意味が変わります。ふだんの体温を知っておくと、園から連絡が来たときに話が早く進みます。
37.5度あっても登園できますか
ガイドラインは、37.8℃の熱があっても全身状態が良ければ一律に登園を控える必要はない、と書いています。熱の数字と全身の様子を組み合わせて判断する形になっています。
別添3の「登園前に保護者から相談を受けた場合の対応について」は、登園を控えるのが望ましい場合を2つ挙げています。1つ目は「24時間以内に38℃以上の熱が出た場合や、又は解熱剤を使用している場合。」です。2つ目は「朝から37.5℃を超えた熱があることに加えて、元気がなく機嫌が悪い、食欲がなく朝食・水分が摂れていないなど全身状態が不良である場合。」です。
2つ目には、判断の例が付いています。
※ 例えば、朝から37.8℃の熱があることに加えて、機嫌が悪く、食欲がないなど全身状態が不良な場合、登園を控えるのが望ましいと考えられる。一方、37.8℃の熱があるが、朝から食欲があり機嫌も良いなど全身状態が良好な場合、一律に登園を控える必要はないと考えられる。
同じ37.8℃で逆の結論を並べているところが、この資料の特徴です。原文はこの例示のあとに「(例示した発熱時の体温はめやすであり、個々の子どもの平熱に応じて、個別に判断が必要)」と付け加えています。
これは国が示しためやすです。通っている園が独自の基準を決めていることがあるので、朝の判断に迷ったら園に電話して様子を伝えてください。
熱で休む基準は自治体や園でどう違いますか
自治体によって、公開している基準の細かさが大きく違います。体温の数字まで市内共通で決めている自治体もあれば、しおりに体温をいっさい書いていない自治体もあります。3つの市の資料を実際に読み比べた結果を挙げます。
白岡市は体温の数字を市内共通のルールにしています
埼玉県白岡市は「保育所に入所しているお子さんが病気になった場合の登園について」というページで、市内共通のルールを公開しています。発熱の項目に書かれているのは次の2つです。
- 朝から37.5度を超えた熱がある。
- 24時間以内に38度以上の熱が出ていた。
2つ目には理由が付いていて、「前日の夜に出た熱は、朝に一時的に下がっても、発熱のサイクルとして、午後からまた上がるため。」と書かれています。国のガイドラインが37.5℃の条件に付けている全身状態についての記載は、白岡市の発熱の項目にはありません。体温だけで休ませる判断ができる書き方になっています。
春日井市のしおりには体温の数字が出てきません
愛知県春日井市の「令和7年度 保育園のしおり」には、迎えを呼ぶ体温の数字が書かれていません。該当するのは「保育中に発熱・発病をした場合は連絡しますので、迎えに来てください。」という一文です。同じページには「日頃から災害・病気など緊急時に迎えに来られる体制をつくっておいてください。」と続いています。
芦屋市のしおりは感染症ごとの症状で説明しています
兵庫県芦屋市の「令和7年度 保育所・認定こども園等のしおり」も、迎えの判断になる体温の数字を示していません。載っているのは、麻しん・水痘・流行性耳下腺炎などの感染症ごとに潜伏期間と症状を並べた一覧です。たとえば突発性発しんの症状は「2~4日の高熱で、解熱後全身発しん。」と書かれています。
迎えを呼ぶ体温を国が全国一律に決めてはいません。自分の園の基準は、入園のしおりか重要事項説明書に書かれています。手元に無ければ園に聞いてください。
すぐに受診したほうがいいのはどんなときですか
ガイドラインは「至急受診が必要と考えられる場合」として、熱の高さに関わらず受診を考える様子を挙げています。38℃に届いていなくても対象になります。
別添3が挙げているのは次の様子です。
- 顔色が悪く苦しそうなとき
- 小鼻がピクピクして呼吸が速いとき
- 意識がはっきりしないとき
- 頻回な嘔吐や下痢があるとき
- 不機嫌でぐったりしているとき
- けいれんが起きたとき
この6つには「38℃以上の発熱の有無に関わらず」という条件が付いています。熱が37℃台でも、呼吸が速い・意識がはっきりしないといった様子があれば受診を考える並びです。
月齢による項目も1つあります。原文は「3か月未満児で38℃以上の発熱があるとき」を、至急受診が必要と考えられる場合に入れています。
受診するかどうかを決めるのは医師と保護者です。この一覧は園と家庭が様子を見るときのめやすで、診断の基準ではありません。迷ったときは、かかりつけ医か自治体の救急相談に電話して判断を仰いでください。
迎えに行くまでのあいだ、園は何をしていますか
ガイドラインは、保護者が迎えに来るまでの対応として、1時間ごとの検温・水分補給・着替えの3つを挙げています。発しんや咳を伴うときと、複数の子どもに似た症状が出ているときは、別室で保育するとしています。
熱が出たときのケアとして書かれているのは次の内容です。経口補水液、湯ざまし、お茶等により水分を補給する。熱が上がって暑がる時は薄着にし、涼しくしたり、氷枕などをあてたりする。手足が冷たい時、寒気がある時は保温する。高熱が出ている場合には、首のつけ根・わきの下・足の付け根を冷やす。この最後の冷やす対応には「ただし、子どもが嫌がる場合には行わないこと」という条件が付いています。
微熱のときの扱いも書かれています。原文は「微熱が出ている場合には、水分補給を行い安静にさせた後、30分程度様子を見てから再度検温する。」としています。1回の検温ですぐ連絡が来るとはかぎりません。
園が保護者に連絡する根拠は、保育所保育指針の第3章にあります。第3章1(3)アは「保育中に体調不良や傷害が発生した場合には、その子どもの状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、嘱託医や子どものかかりつけ医等と相談し、適切な処置を行うこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。」と定めています。園が連絡を入れるのは、指針が求めている対応だからです。
ガイドラインは、部屋の環境のめやすも数字で示しています。室温は夏26〜28℃、冬20〜23℃。湿度は高め。換気は1時間に1回。外気温との差は2〜5℃。家で看病するときの参考になります。
0歳・1歳の熱に多いこと
ガイドラインは0〜1歳の発熱について、別の注意書きを置いています。書かれているのは4点です。
- 体温調節機能が未熟なために、外気温、室温、湿度、厚着、水分不足等による影響を受けやすく、体温が簡単に上昇する
- 咳や鼻水などのかぜにみられる症状がなければ、水分補給を十分に行ない、涼しい環境に居ることで、熱が下がることがある
- 0歳児が入園後はじめて発熱した場合には、突発性発しんの可能性もある。熱性けいれんをおこす可能性もある
- 発熱がある、機嫌が悪いなどの様子とともに、耳をよくさわる様子がみられる時は、中耳炎の可能性もある
熱性けいれんの既往がある子どもには、別の対応が書かれています。原文は「発熱があった場合には、解熱したとしても、発熱後24時間は自宅で様子をみる。」としています。この24時間は、熱性けいれんの既往がある子どもについての記載です。入園時に、過去にけいれんが起きた時の状況とけいれんの前ぶれの症状を園に伝えるようにも書かれています。
熱が下がったらいつから登園できますか
感染症と診断された場合は、病気ごとに登園のめやすが決まっています。熱が下がった日に登園できる病気と、解熱後に日数を置く病気があります。
ガイドラインが示しているめやすのうち、熱に関係するものを挙げます。
- インフルエンザ … 発症した後5日経過し、かつ解熱した後3日経過していること(乳幼児の場合)
- 新型コロナウイルス感染症 … 発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過すること
- 麻しん(はしか) … 解熱後3日を経過していること
新型コロナウイルス感染症については、登園を再開する際に検査陰性証明書の提出を求める必要はない、とガイドラインに明記されています。検査を実施するかどうかを判断するのは医師で、保育所が一律に検査を求めないよう求めています。
ここで資料どうしの食い違いが1つあります。春日井市の令和7年度 保育園のしおりは、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を同じ行にまとめて「発症後5日、かつ解熱後3日を経過してから」と書き、出典として国のガイドラインを示しています。国のガイドラインが新型コロナについて書いているのは「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過すること」です。登園の日を数えるときは、自分の園のしおりの記載を確認してください。
感染症ごとの一覧と、登園許可証や登園届が必要になる病気の区分は、保育園の登園許可証はいつ必要?感染症別の登園のめやす一覧にまとめています。
熱で呼び出されたときに備えておくこと
園が最初にかけるのは、入園時に提出した緊急連絡先です。勤務先や携帯番号が変わったら、その都度園に伝えてください。春日井市のしおりも「住所・勤務先・電話番号・携帯電話・緊急連絡先等に変更がありましたら、必ずその都度お知らせください。」と書いています。
ZuMy株式会社が提供している zuuumy は、入園時に紙で集めていた書類を保護者がスマホから入力できるようにするサービスです。オンライン化している書類は、児童票・緊急連絡先・生活状況票・健康問診票・食品調査票の5種類です。緊急連絡先がこの中に入っているのは、熱や事故のときに園が真っ先に使う情報だからです。紙で出した園でも、内容が古くなっていないか年度の初めに見直しておくと安心です。
仕事を抜けられない日が続くときは、病児保育の登録を先に済ませておく方法があります。料金や医師連絡票の扱いは病児保育とは?料金と無料になる条件・医師連絡票で説明しています。
よくある質問
保育園は37.5度で呼び出されますか
国のガイドラインは、保護者への連絡が望ましい場合を「38℃以上の発熱があり」、そのうえで元気がない・水分が摂れないなどの様子があるときとしています。37.5℃が出てくるのは、熱性けいれんの既往がある子どもへの注意書きと、朝に登園を控えるかどうかの判断のところです。園が独自に37.5℃を連絡の基準にしていることはあるので、通っている園のしおりで確認してください。
解熱剤を飲ませて登園してもいいですか
ガイドラインは「24時間以内に38℃以上の熱が出た場合や、又は解熱剤を使用している場合。」を、登園を控えるのが望ましい場合として挙げています。解熱剤で熱を下げた状態での登園は、この記載にあてはまります。春日井市のしおりは「原則として薬を持っての登園はご遠慮ください。」とも書いています。
熱が下がった次の日から登園できますか
感染症と診断されていなければ、ガイドラインは体温と全身状態の両方で見る形にしています。「24時間以内に38℃以上の熱が出た場合」は登園を控えるのが望ましいとされています。インフルエンザは発症した後5日経過し、かつ解熱した後3日経過していること(乳幼児の場合)が登園のめやすです。
生後3か月未満で38度の熱が出たらどうしますか
ガイドラインは「3か月未満児で38℃以上の発熱があるとき」を、至急受診が必要と考えられる場合に入れています。他の症状がなくても受診の対象として挙げられている項目です。受診先に迷ったら、かかりつけ医か自治体の救急相談に電話してください。
熱性けいれんを起こしたことがある場合、園に何を伝えますか
ガイドラインは、発熱とともにけいれんが起きた場合の連絡先と、主治医からの対応方法に関する指導内容を園が確認するとしています。入園時には、過去にけいれんが起きた時の状況とけいれんの前ぶれの症状を保護者から確認するとも書かれています。37.5℃以上の発熱があるときは医師の指示に従う、という注意書きも付いています。
著者
小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。保育園・こども園の入園書類をオンライン化するサービス zuuumy を提供しています。本記事は、こども家庭庁および自治体が公開している資料の原文を読んで作成しました。医療上の判断については、かかりつけ医や自治体の相談窓口にご確認ください。
出典
- 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂/2023年7月一部修正)こども家庭庁(確認日: 2026年10月28日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf
- 保育所保育指針解説 第3章 健康及び安全 こども家庭庁(確認日: 2026年10月28日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/eb316dce-fa78-48b4-90cc-da85228387c2/e442d00a/20231013-policies-hoiku-shishin-h30-0000202212.pdf
- 保育所に入所しているお子さんが病気になった場合の登園について 白岡市(確認日: 2026年10月28日)https://www.city.shiraoka.lg.jp/soshiki/kenkofukushibu/kodomohoikuka/2/2/938.html
- 令和7年度 保育園のしおり 春日井市(確認日: 2026年10月28日)https://www.city.kasugai.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/034/611/R7hoiku_shiori.pdf
- 令和7年度 保育所・認定こども園等のしおり 芦屋市(確認日: 2026年10月28日)https://www.city.ashiya.lg.jp/kodomo/nyusyo/documents/r7shiori.pdf
