延長保育とは、保育の必要量として認定された時間を超えて、保育所や認定こども園で子どもを預かる保育です。保育標準時間の認定を受けている場合、園が定めた11時間の開所時間を超えた分が延長保育にあたります。料金は市町村と園が決めていて、幼児教育・保育の無償化の対象には入りません。
国の制度としての名前は「延長保育事業」です。実施主体は市町村で、保護者が払う時間外保育の費用の一部を市町村が助成するしくみとして要綱に書かれています。延長保育料は園ごとに違い、時間帯によっては料金を取らない自治体もあります。福井市は短時間認定の「開園の時間から午前8時まで」を無料と定めています。
延長保育とは何ですか
延長保育とは、子ども・子育て支援法で保育認定を受けた子どもが、通常の利用日と利用時間帯以外の日や時間に保育所や認定こども園で保育を受ける保育です。こども家庭庁の延長保育事業実施要綱は、事業の内容を「保護者が支払うべき時間外保育の費用の全部又は一部の助成を行うことにより、必要な保育を確保する事業」と書いています。
実施主体は市町村(特別区を含む)です。費用は国が3分の1、都道府県が3分の1、市町村が3分の1を負担します。預かる場所と時間を園が決め、その費用の一部を市町村が園に払い、残りを保護者が延長保育料として払う、という組み合わせになっています。
実施か所数と利用児童数は国が公表しています。こども家庭庁の令和8年度予算案の資料によると、延長保育事業の実施か所数は令和5年度で29,755か所(公立6,256か所、私立23,499か所)、年間の実利用児童数は948,778人(公立198,712人、私立750,066人)です。令和3年度は29,277か所・893,990人だったので、か所数も利用児童数も増えています。
要綱には「一般型」と「訪問型」の2つがあります。一般型の実施場所は、民間保育所等、小規模保育事業所、事業所内保育事業所、家庭的保育事業所、駅前等利便性の高い場所、公共的施設の空き部屋等と書かれています。訪問型は居宅訪問型保育事業を利用している子どもが利用時間を超える場合などに使うもので、自宅までの交通費を実費で徴収できると書かれています。
延長保育は何時から何時までですか
延長保育の始まる時刻は、全国共通の時計の数字では決まっていません。園の開所時間と、園が定めた保育時間が起点になります。
前提として、保育の必要量は2つの区分で認定されます。子ども・子育て支援法施行規則は「保育必要量の認定は、保育の利用について、一月当たり平均二百七十五時間まで(一日当たり十一時間までに限る。)又は平均二百時間まで(一日当たり八時間までに限る。)の区分に分けて行うものとする」と定めています。前者が保育標準時間、後者が保育短時間です。1日の上限だけでなく、月あたりの上限時間でも決められています。
保育標準時間の認定の場合
こども家庭庁の資料は、一般型のうち標準時間認定について「11時間の開所時間を超えて保育を実施する事業」と書いています。同じ資料には、7時から18時まで開所して後ろに4時間の延長を実施する保育所の図が載っています。
福井市は、この起点を園ごとに言い換えて案内しています。福井市のページには「開園時間から11時間を超えて閉園時間までの時間帯が標準時間の延長保育時間帯になります」とあり、3つの例が並んでいます。開園7時・閉園19時なら18時から19時の1時間が延長保育の時間帯、開園7時30分・閉園19時なら18時30分から19時の30分、開園7時30分・閉園18時30分なら11時間後が閉園時刻にあたるので延長保育の時間帯はありません。開所時間が11時間ちょうどの園では、標準時間の認定でも延長保育の枠がないことになります。
保育短時間の認定の場合
短時間認定について、要綱は「各施設等が設定した短時間認定児の保育を行う時間を超えて」延長保育を実施することと書いています。何時からになるかは園の設定で決まります。
自治体の書き方も分かれます。福井市は短時間認定の延長保育時間帯を「開園から8時まで及び16時から閉園時間まで」と設定しています。安中市の令和8年度の資料は、延長保育を「保育短時間認定児を対象とした、園で定めた8時間を超えた保育事業」「保育標準時間認定児を対象とした、園で定めた11時間を超えた保育事業」と並べて説明しています。福井市のように時刻で区切る自治体と、安中市のように園が定めた時間を基準にする自治体があります。自分の子どもの延長保育が何時から始まるかは、入園時のしおりや園の延長保育の案内で確認してください。
短時間の認定で働く時間を組み立てている場合は、時短勤務の3歳までと3歳以降の決まりとあわせて、迎えに行ける時刻から逆算すると考えやすくなります。
延長保育の料金はいくらですか
延長保育料に全国一律の金額はありません。要綱は保護者負担について「本事業の実施に必要な経費の一部を保護者負担とすることができる」とだけ書いています。金額を決めるのは市町村と園です。
福井市は、延長保育料を時間帯と認定区分で分けて公開しています。標準時間認定は、開園時間から11時間を超えて11時間30分までが日額100円・月上限1,500円、11時間31分を超えて閉園時刻までが日額200円・月上限2,500円です。短時間認定は、開園時刻から午前8時までが無料、16時01分から16時30分までが日額100円・月上限1,500円、16時31分から18時までが日額200円・月上限2,500円、18時から閉園時刻までが日額300円・月上限3,500円です。福井市は「お迎えの時間によって日額料金が変わります」と書き添えています。
千代田区が公開している「私立認可保育園の延長保育料」の一覧には、園ごとの金額が載っています。読み比べると、同じ区内でも金額と区分の作り方が違います。
- 私立アスク二番町保育園は、朝30分延長(午前7時〜午前7時30分)が月額1,500円、スポット延長が1日150円。夕1時間延長(午後6時30分〜午後7時30分)が月額2,500円、スポット延長が1日250円
- 私立神田淡路町保育園大きなおうちは、夕1時間延長(午後6時15分〜午後7時15分)が月額3,000円、スポット延長が1時間1,000円。夕2時間延長が月額6,000円、スポット延長が2時間2,000円
- 私立保育園神田ベアーズは、継続利用を「15日以下/月」と「16日以上/月」に分けています。0〜2歳児クラスの夕1時間延長は15日以下が月額2,000円、16日以上が月額3,000円、スポット延長が500円。3〜5歳児クラスの同じ区分は月額1,800円、月額2,500円、スポット延長500円です
夕方1時間の延長で、月額が2,000円の園も3,000円の園もあり、スポット延長は250円の園も1,000円の園もあります。年齢のクラスで金額を分けている園、利用日数で分けている園もあります。金額は改定されることがあるので、在園している園から配られる延長保育の案内で、自分の子どものクラスと利用のしかたに当てはまる金額を確認してください。
延長保育は無償化の対象になりますか
延長保育の利用料は、幼児教育・保育の無償化の対象になりません。こども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ【2024年7月1日版】」は、問1-13でこう答えています。
特定教育・保育施設(保育所・認定こども園)又は特定地域型保育事業を利用している方については、保育標準時間認定、保育短時間認定どちらの場合も延長保育を利用した際の利用料は無償化の対象とはなりません。
同じ回答には続きがあります。「なお、延長保育の利用料について、市町村(特別区を含む。以下同じ。)で独自に世帯所得等に応じた軽減を行っている場合もあります」とあり、軽減の在り方は引き続きそれぞれの市町村において決めるよう書かれています。世帯の所得に応じて延長保育料を軽くしている市町村があるということで、全国の決まりではありません。自分の住む市町村に軽減があるかどうかは、保育課などの窓口で確認してください。
所得による軽減とは別に、時間帯の設定として料金を取らない例もあります。福井市は短時間認定の「開園の時間から午前8時まで」を無料と定めています。早朝の延長保育を実施している園と実施していない園があることも、福井市は同じページに書いています。
3歳から5歳のクラスの保育料そのものが無償になるしくみと、延長保育料は別の話です。保育料の決まり方は保育料の上限額と無料になる条件にまとめています。
延長保育でおやつや夕食は出ますか
出す園があります。延長保育事業実施要綱の留意事項は、一般型について「対象児童に対し、適宜、間食又は給食等を提供すること」と書いています。何をいくらで出すかは園が決めます。
千代田区の一覧には、園ごとの補食代と夕食代が書かれています。無料の園から1食500円の園まで、幅があります。
- 私立神田淡路町保育園大きなおうちは「補食・夕食を提供します(無料)」と書いています。スポット延長の場合も無料です
- 私立ほっぺるランド西神田は、午後7時30分までの子どもに補食を無料で提供し、午後7時30分を超える子どもには夕食を提供して夕食代300円/1食が必要と書いています
- 私立ポピンズナーサリースクール一番町は、補食代210円/1食・夕食代400円/1食です
- 私立クレアナーサリー市ヶ谷は、補食代100円/1食・夕食代500円/1食です
- 私立グローバルキッズ飯田橋園は、継続利用の場合に夕食代4,000円/月または300円/日が必要で、補食代は月額に含まれると書いています
延長保育料と食事の代金を別に請求する園があり、食事の代金を月額に含める園もあります。延長保育の案内を見るときは、時間区分の金額と食事の代金を分けて読むと、月にいくら払うかが見えてきます。日中の給食の費用の決まりは保育園の給食の費用と主食の持参で説明しています。
延長保育の申し込みはどうやりますか
延長保育の申し込みは、園に出すのが基本です。福井市は「申請時に申込書(延長保育申請書、保育利用時間申告書)を園からもらい記入し、園に提出する流れになります」と案内しています。市役所に行かず、園とのやりとりで完結します。
福井市の案内で気をつけたいのは、月額の区分を申請時に自分で決める点です。「月額の区分につきましては申請時に決めていただくものになりますので就労時間等をふまえたうえで申請書の記入をお願いします」と書かれています。何時まで預けるかを先に決めて申請する形です。
迎えが閉所時刻を超えたときの扱いも書かれています。福井市は「開園時間内のお迎えが原則になりますが、万一お迎えが閉所時間を超えた場合は日額100円の追加負担金が生じます」としていて、延長保育料が無料になる人でも閉所時刻を超えた場合は日額100円を実費で徴収すると明記しています。申請していた区分と実際の迎えの時刻がずれると、請求が変わることがあります。
申し込みの時期と書類の名前は市町村で違います。入園の説明会で配られる書類に延長保育の申請書が入っていることもあるので、入園時に受け取った書類を一度見直してください。入園してすぐの保育時間については慣らし保育の期間と1日の時間の目安にまとめています。延長保育を使い始める時期は、園の慣らし保育の予定とあわせて園に相談してください。
よくある質問
延長保育と一時保育は何が違いますか
在園している子どもが認定時間を超えて預かってもらうのが延長保育、在園していない子どもを一時的に預かるのが一時預かりです。こども家庭庁のFAQは、休日保育について答えた問1-14の注記で「通常の保育標準時間・保育短時間外にスポットで利用される保育は、新制度においては延長保育事業又は一時預かり事業に該当」すると書いています。千代田区の小規模保育室「あい・ぽーと」小さな家麹町は、スポットの延長について子育てひろばの一時預かり保育を利用する案内になっています。園によって受け口が変わります。
延長保育は何歳から使えますか
延長保育事業実施要綱に年齢の下限は書かれていません。対象は子ども・子育て支援法第19条第1項第2号または第3号の支給要件を満たし、市町村の認定を受けて民間保育所等を利用する児童です。園の案内に条件が書かれている例があります。千代田区の私立保育園神田ベアーズは、0〜2歳児クラスの延長保育料に「離乳食完了後から」と注記しています。在園する園の案内で確認してください。
延長保育を実施している園はどれくらいありますか
令和5年度で29,755か所です(公立6,256か所、私立23,499か所)。こども家庭庁の令和8年度予算案の資料に載っている数字で、夜間保育所における22時以降の延長保育も含みます。年間の実利用児童数は948,778人です。
延長保育の料金は国が決めていますか
保護者が払う延長保育料は国が決めていません。要綱は「本事業の実施に必要な経費の一部を保護者負担とすることができる」と書くだけで、金額は市町村と園が決めます。国が金額を決めているのは園への補助のほうです。こども家庭庁の令和8年度予算案の資料には、保育所の標準時間認定について1事業所当たり年額で30分延長600,000円、1時間延長1,909,000円、2〜3時間延長2,955,000円という補助基準額案が載っています。
延長保育の時間は30分単位で決められますか
要綱が補助の対象として定めている区分は、標準時間認定では30分延長、1時間延長、2時間延長、3時間以上の延長です。30分延長は、延長時間内の1日当たり平均対象児童数が1人以上いることが要件で、1時間延長と2時間延長は平均3人以上が要件になっています。短時間認定では1時間延長、2時間延長、3時間延長の区分があり、いずれも平均1人以上が要件です。園がどの区分を置くかは園と市町村が決めるので、30分単位の延長がある園とない園があります。
出典
- こども家庭庁「延長保育事業の実施について(こ成保第225号・令和6年4月1日、一次改正こ成保第258号・令和7年3月31日)/延長保育事業実施要綱」(確認日: 2026年10月27日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/983bf65e/20250530_policies_hoiku_139.pdf
- こども家庭庁「多様なニーズに対応した保育の充実②(病児保育・延長保育・一時預かり等)」令和8年度予算案(確認日: 2026年10月27日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/07b4e1a1/20260401_policies_hoiku_209.pdf
- こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ【2024年7月1日版】」問1-13・問1-14(確認日: 2026年10月27日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fbea17f8-33d0-4a70-8ea6-84f3402bad73/15f5e496/20240711_policies_kokoseido_mushouka_23.pdf
- e-Gov法令検索「子ども・子育て支援法施行規則(平成26年内閣府令第44号)」(確認日: 2026年10月27日)https://laws.e-gov.go.jp/law/426M60000002044
- 福井市「延長保育事業」(確認日: 2026年10月27日)https://www.city.fukui.lg.jp/fukusi/kosodate/hoikuen/p021274.html
- 千代田区「私立認可保育園の延長保育料」(確認日: 2026年10月27日)https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/1349/shiritsu-enchohoikuryo_4.pdf
- 安中市「令和8年度利用者負担額(保育料)徴収基準額表」(確認日: 2026年10月27日)https://www.city.annaka.lg.jp/uploaded/attachment/17263.pdf
この記事の執筆: 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。入園書類のオンライン化サービス zuuumy を提供し、保育施設と保護者の書類のやりとりを扱っています。本文の自治体資料は、2026年10月27日に各自治体の公開ページとPDFの原文を読んで確認しました。

