保育園のお昼寝を何歳まで続けるかは、国の基準で決まっていません。保育所保育指針(平成29年3月31日厚生労働省告示第117号)が午睡について書いているのは「一律とならないよう配慮すること」で、学年ごとの終了時期や長さは園が決めます。実際の案内を読み比べると、紀の川市は5歳児のお昼寝を「10月頃まで」と書き、春日井市は4・5歳児を「希望者」としたうえで7月から8月と書いています。同じ年長でも書かれている内容が違います。
保育園のお昼寝は何歳までですか
国の告示に年齢の線はありません。午睡とは、保育所で日中にとる睡眠のことです。保育所保育指針の本文で「午睡」の語が出てくるのは3か所だけで、終了する学年を示した箇所はありません。
1つ目は第1章「保育所保育に関する基本原則」に続く指導計画の作成の項で、次のように書かれています。
午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。
2つ目は第2章の「1 乳児保育に関わるねらい及び内容」で、内容として「一人一人の生活のリズムに応じて、安全な環境の下で十分に午睡をする」と書かれています。3つ目は「2 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」で、「食事や午睡、遊びと休息など、保育所における生活のリズムが形成される」と書かれています。
続く「3 3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」の節に、午睡の語は出てきません。3歳児以降のお昼寝をいつまで続けるかは、告示が園に任せている部分です。年長のお昼寝が夏だけの園と、10月頃まで続く園が同じ国の基準の下で成り立つ理由はここにあります。
お昼寝の時間は何時から何時までですか
開始時刻と期間は、園のしおりに書かれています。公開されている2件を読むと、学年ごとの書き方が分かれます。
春日井市の令和7年度「保育園のしおり」の「保育園の一日」では、乳児が12時00分に「ひるね準備」、13時00分に「ひるね」と並んでいます。幼児も13時00分に「ひるね」と書かれ、その欄に「3歳児 4月~10月」「4・5歳児(希望者)7月~8月」と年齢ごとの期間が書かれています。持ち物のページには〈乳児組〉として「毎日お昼寝をします。コット(お昼寝用ベッド)を使用します。」、〈年少組〉として「4月~10月にお昼寝をします。コット(お昼寝用ベッド)を使用します。」と書かれ、どちらにも「持ち物については、各園にお問い合わせください。」と続いています。
紀の川市の「保育所のしおり」は、お昼寝(午睡)の項でこう書いています。
〇期 間(0~4歳児)‥・・年間を通じて/(5歳児)‥‥‥…10月頃まで
2件を並べると、年長の扱いが違います。紀の川市は5歳児を10月頃までと書き、春日井市は4・5歳児を希望者としたうえで7月から8月と書いています。3歳児の期間は、春日井市が4月から10月です。この2件から全国の傾向は分かりません。自分の子どもの園のお昼寝の時間と期間は、園のしおりを見るか、園に直接聞いて確認してください。
入園したばかりの時期は、登園する時間そのものが短く、お昼寝の前に帰る日もあります。進み方の目安は慣らし保育の期間と1日の時間にまとめています。
お昼寝をしたがらない子は無理に寝かせられますか
眠らない子を寝かせ続けるよう国が求めている箇所はありません。保育所保育指針が書いているのは「睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること」です。配慮の中身を具体的に指定した条文はありません。
実際の運用は園ごとに違います。春日井市の令和7年度のしおりは、4・5歳児のひるねに「希望者」と書いています。眠らない時間に何をして過ごすか、何分横になれば起きていいかを決めている公的資料は見つかりません。自分の園の方針は園に確認してください。
お昼寝を嫌がる日と、朝に行きたがらない日が重なることもあります。登園を渋るときの考え方は登園しぶりの判断と園への伝え方で扱っています。
園は寝ている間に何を確認していますか
内閣府・文部科学省・厚生労働省が示した「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」(平成28年3月)は、睡眠中を重大事故が発生しやすい場面の1つに挙げています。乳児の窒息リスクの除去として、睡眠前と睡眠中に行う点が並びます。
- 医学的な理由で医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、乳児の顔が見える仰向けに寝かせることが重要
- やわらかい布団やぬいぐるみ等を使用しない
- ヒモ、またはヒモ状のもの(例:よだれかけのヒモ、ふとんカバーの内側のヒモ、ベッドまわりのコード等)を置かない
- 口の中に異物がないか確認する
- ミルクや食べたもの等の嘔吐物がないか確認する
- 子どもの数、職員の数に合わせ、定期的に子どもの呼吸・体位、睡眠状態を点検すること等により、呼吸停止等の異常が発生した場合の早期発見、重大事故の予防のための工夫をする
点検の間隔について、この注意事項に分数の指定はありません。「子どもの数、職員の数に合わせ、定期的に」と書かれているだけです。ガイドラインの巻末にある参考例8-3「年齢別のチェックリスト」(上尾市立保育所危機対応要領 資料編から掲載)には、0歳児の29番として「午睡時チェックを15分ごとに行っている。」という項目が載っています。国の注意事項と、参考として掲載された自治体のチェックリストは別のものです。15分おきが全国の決まりだと読まないでください。
保育所保育指針解説は、保育中の安全管理について「子どもの安全の観察に当たっては、午睡の時間を含め、一人一人の子どもを確実に観察することが重要である」と書いています。
こども家庭庁は令和8年2月13日に「教育・保育施設等における睡眠中の事故防止対策の徹底について」という事務連絡を出しました。令和5年12月に東京都世田谷区の認可外保育施設で起きた生後4か月の乳児のうつぶせ寝による死亡事故で、業務上過失致死罪に問われた元施設長らに判決が言い渡されたことを受け、上のガイドラインを教育・保育に携わるすべての職員に周知徹底するよう自治体に求めた内容です。この事務連絡は、睡眠中の窒息リスクを除去することを「極めて重要」と書いています。
睡眠中の事故とSIDSはどれくらい報告されていますか
こども家庭庁が令和8年7月29日に公表した「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」では、令和7年1月1日から12月31日までに国へ報告があった件数は3,130件で、前年より61件少ない数でした。報告の対象は、死亡事故、意識不明事故、治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故です。このうち死亡の報告は1件で、前年より2件少ない数です。
死亡事故発生時の状況をまとめた表は「令和7年に死亡事故の報告があった事業のみ掲載」とされ、放課後児童健全育成事業の列だけが載っています。その内訳は、睡眠中が0件、プール活動・水遊びが1件です。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る、原因の分からない病気です。保育所保育指針解説は、窒息などの事故とは異なるものとして説明し、日本での発症頻度をおよそ出生6,000人から7,000人に1人と推定しています。生後2か月から6か月に多く、稀には1歳以上で発症することがあるとも書かれています。
こども家庭庁の令和7年10月31日の報道発表資料には「令和6年には55 名の乳幼児がSIDS で亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第3位となっています。」と書かれています。
11月は乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間です。令和8年度は11月1日から11月30日までの1か月間で、平成11年度から毎年実施されています。11月に置かれている理由を、実施要綱は12月以降の冬期にSIDSが発症する傾向があるためと説明しています。
要綱は、これまでの研究で発症の危険性を低くするというデータが得られている習慣として、次の4つを挙げています。
- 1歳になるまでは、あおむけに寝かせる
- 無理のない範囲で母乳で育てる
- 保護者等のたばこをやめる
- 乳児をあたためすぎない
寝返りをしてうつぶせになったときの扱いは、こども家庭庁の令和7年10月31日の報道発表資料に質問と回答の形で載っています。米国国立衛生研究所および米国小児科学会によると、赤ちゃんがあおむけからうつぶせと、うつぶせからあおむけのどちら側からでも自分で寝返りができるようになったら、あおむけ寝の姿勢に戻す必要はないとされているという回答です。同じ回答は、眠り始めるときにあおむけ寝の姿勢にすることと、寝返りをした時に備えて赤ちゃんの周囲に柔らかな寝具を置かないことを、リスクを減らすために重要な点に挙げています。
寝かせ方で気になることがあるときは、乳幼児健診やかかりつけの医療機関で相談してください。資料の記載だけで個別の判断はできません。
お昼寝布団とコットは何を用意しますか
国の基準に布団のサイズの指定はありません。用意するものは園のしおりに書かれていて、布団一式の園とコットの園があります。
コットとは、お昼寝に使う簡易ベッドのことです。春日井市の令和7年度のしおりは「コット(お昼寝用ベッド)」と書き、乳児組と年少組のどちらもコットを使用するとしています。持ち物は各園に問い合わせる案内です。
紀の川市の「保育所のしおり」は、お昼寝の用具をこう書いています。
〇用 具‥‥‥布団一式 ※ 敷布団サイズ(横80~90㎝/縦120㎝位)・季節によりタオルケット、毛布を使用・枕はいりません
サイズの数字が園ごとに違うので、市販の布団を買う前にしおりの寸法を見てください。入園時に用意する枚数やサイズの考え方は保育園の持ち物リスト(自治体7件の枚数とサイズ)で自治体の案内を読み比べています。
寝具の衛生について、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」は次の点を挙げています。衛生的な寝具を使用する、個別の寝具にはふとんカバーをかけて使用する、ふとんカバーは定期的に洗濯する、定期的にふとんを乾燥させる、尿・糞便・嘔吐物等で汚れた場合には消毒(熱消毒等)を行う、の5点です。
同じガイドラインは、頭じらみ症について「保育所で感染が確認された場合、昼寝の際には、子どもの頭と頭を接しさせないよう」にすると書いています。昼寝の並べ方が感染対策として扱われている場面があります。
よくある質問
保育園のお昼寝は何歳までですか
国の基準に年齢の線はありません。保育所保育指針で「午睡」の語が出てくるのは3か所で、乳児と1歳以上3歳未満児の節に内容として書かれ、3歳以上児の節には出てきません。紀の川市は5歳児を10月頃まで、春日井市は4・5歳児を希望者として7月から8月と書いています。自分の園の期間は園に確認してください。
保育園では何分おきに呼吸を確認しますか
国のガイドラインの注意事項は「子どもの数、職員の数に合わせ、定期的に子どもの呼吸・体位、睡眠状態を点検する」と書くだけで、分数の指定はありません。巻末の参考例8-3(上尾市立保育所危機対応要領 資料編から掲載)の0歳児のチェックリストに「午睡時チェックを15分ごとに行っている。」という項目があります。実際の間隔は園の決め方なので、園に聞いてください。
年長になってもお昼寝がある園は、やめてもらえますか
保護者の求めで午睡をやめる手続きを定めた公的資料は見つかりません。保育所保育指針は「一律とならないよう配慮すること」と書いています。春日井市のしおりのように4・5歳児を希望者としている例があるので、園の方針と子どもの様子を園に伝えて相談してください。
お昼寝布団のサイズは決まっていますか
国の基準にサイズの指定はありません。紀の川市は敷布団を横80〜90cm、縦120cm位と書き、枕はいりませんとしています。春日井市の乳児組と年少組はコットを使い、持ち物は各園に問い合わせる案内です。買う前に自分の園のしおりを確認してください。
この記事について
著者 小泉太郎(ZuMy株式会社 代表取締役CEO)。入園書類のオンライン化サービス「zuuumy」を提供し、保育園・幼稚園が入園時に集める書類を扱っています。本記事の制度と数値は、こども家庭庁・厚生労働省と自治体が公開している資料の原文を読んで書きました。
※本記事は保育士資格を持つ者の監修を受けていません。健康や発達の個別の判断は、かかりつけの医療機関や園に相談してください。
出典
- 保育所保育指針(平成29年3月31日厚生労働省告示第117号)(確認日: 2026年10月31日)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00010450&dataType=0&pageNo=1
- 保育所保育指針解説 第3章 健康及び安全(平成30年2月 厚生労働省/こども家庭庁掲載)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/eb316dce-fa78-48b4-90cc-da85228387c2/e442d00a/20231013-policies-hoiku-shishin-h30-0000202212.pdf
- 教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン【事故防止のための取組み】(平成28年3月 内閣府・文部科学省・厚生労働省)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/03f45df9-97e1-4016-b0c3-8496712699a3/39b6fd36/20230607_policies_child-safety_effort_guideline_02.pdf
- 教育・保育施設等における睡眠中の事故防止対策の徹底について(令和8年2月13日 こども家庭庁事務連絡)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/787dd8a4-3b44-4eed-a661-b9d0729f70c9/318b29e4/20260216_policies_child-safety_effort_tsuchi_45.pdf
- 令和8年度乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間の実施について(令和8年10月21日 こども家庭庁成育局長・厚生労働省医政局長通知/別添実施要綱)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/787dd8a4-3b44-4eed-a661-b9d0729f70c9/2ad19ee9/20261030_policies_child-safety_effort_tsuchi_68.pdf
- 「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」(令和8年7月29日公表 こども家庭庁)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/68cc3ca7-8946-43e9-939c-5ec2113f1512/b6353351/20260727_policies_child-safety_effort_shukei_11.pdf
- 11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です(令和7年10月31日 こども家庭庁報道発表資料)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/0717ee9f-4180-4240-bc82-ed0669464687/e294a7f5/20251031press-0717ee9f-4180-4240-bc82-ed0669464687-01.pdf
- 保育所における感染症対策ガイドライン(こども家庭庁)(確認日: 2026年10月31日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf
- 令和7年度 保育園のしおり(春日井市)(確認日: 2026年10月31日)https://www.city.kasugai.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/034/611/R7hoiku_shiori.pdf
- 保育所のしおり(紀の川市)(確認日: 2026年10月31日)https://www.city.kinokawa.lg.jp/027/files/hoikunoshiori.pdf

